不整脈

不整脈とは?

不整脈とは脈拍の異常ではなく、
心臓のリズム(調律)の異常のことをいいます。

不整脈と聞くと、脈拍に異常がある病気と思われがちですが、不整脈とは脈拍の異常のみではなく、心臓のリズム(調律)の異常のことをいいます。 そして、「不整脈」というのは病名ではなく病態の総称です。つまり、心臓の電気的興奮のリズムが異常になった状態すべてを「不整脈」といいます。
この不整脈には、大きく分けて脈がとぶように感じる期外収縮、脈が速くなる頻脈、脈が遅くなる徐脈の三つがあります。また、不整脈には治療の必要のないものから危険なものまでいろいろあります。

不整脈はまったくない人はいないといってもよいほど、一般的なもの。
まずは治療が必要な不整脈かそうでないかを知るが大切

通常心臓は1分間約60~80の規則的なリズムで拍動を繰り返していますが、このリズムは右心房にある洞結節で作られます。
ここで発生するごく微量の電気が心臓に備わっている「刺激伝導系」という経路をつたって心房から心室に伝達されて心臓の拍動を生じ、血液が全身に送り出されます。この「刺激伝導系」はいわば天井裏を張っている電線のようなものだと考えればよく、その途中の心房と心室の間には房室結節とよばれるいわば変電所のようなところがあって電気が心室に伝わるのを遅らせ、心房の収縮のあとわずかな時間差をおいて心室の収縮が起こるようになっています。

健康成人で不整脈がまったくない人はいないといってもよいほど、不整脈は一般的なものです。不整脈がありながら自分ではまったく気づかず、身体検査ではじめて不整脈を指摘される人もあります。不整脈を指摘されたとき、脈の不整や激しい動悸を感じたときは専門医を受診しましょう。それがどんな不整脈なのか、そのまま放置しておいてよいものなのか、危険な不整脈に発展するものでないか、治療を要する不整脈なのか、などをよく聞いて適切な指導をうけることが大切です。
治療しなくてもよいものもたくさんありますが、不整脈によっては心不全や失神発作を起こしたり、脳梗塞を併発するものもあり、早期の治療が必要なものがあることを念頭においてください。

治療の必要な不整脈とは?

不整脈診療の究極の目的は、突然死の回避です。放置していると短時間で死亡する危険性の高い不整脈(致死性不整脈)は、早急な治療が必要です。
また、不整脈そのものは致死性不整脈ほど重症ではないが、長時間放置すると死亡することもある不整脈(準致死性不整脈)は、何らかの基礎心疾患を持っている人に起こる比較的まれな状態ですが、もし発生したら緊急の治療が必要ですので、なるべく早く専門医を受診し適切な処置を受ける必要があります。

次に、不整脈そのものが命を脅かすことはありませんが、日常生活に大きな支障があり、患者さんのQOL(生活の質)が下がってしまうような、自覚症状の強い不整脈も、治療の対象です。
さらに、心不全や脳梗塞を引き起こす可能性のある不整脈も治療の対象になります。

  1. 致死性不整脈

    基礎疾患の有無に関わらず、放置すると短時間で死亡してしまう危険性の高い不整脈を「致死性不整脈」といいます。

    □ 頻脈性不整脈:心室細動、持続性心室頻拍、トルサード・ド・ポワンツ

    □ 徐脈性不整脈:房室ブロック、洞不全症候群

  2. 準致死性不整脈

    不整脈そのものは致死性不整脈ほど重症ではありませんが、長時間放置すると血液循環が悪くなって死亡することもある不整脈です。

    □ 頻脈性不整脈:

    WPW症候群における頻脈性心房細動(偽性心室頻拍

    肥大型心筋症における頻脈性心房細動

    心房粗動の1対1伝導

    □ 徐脈性不整脈:

    Mobitz II型第2度房室ブロック、発作性房室ブロック、   
    急速に進展する三枝ブロック

  3. 強い自覚症状を伴う不整脈

    不整脈そのものが命を脅かすことはありませんが、ひどい動悸やめまい、失神発作など日常生活に大きな支障があり、患者さんのQOL(生活の質)が下がってしまいまう場合です。

    □ 頻脈性不整脈:発作性心房細動、発作性心房粗動、発作性上室性頻拍、多発性上室性・心室性期外収縮

    □ 徐脈性不整脈:徐脈頻脈症候群、発作性洞停止

  4. 心不全を引き起こす危険性のある不整脈

    1分間130拍以上の極端な頻脈や、逆に40拍以下の極端な徐脈が長時間続く場合などです。

    □ 頻脈性不整脈:洞性頻脈、上室性頻拍、頻脈性心房細動・心房粗動、接合部頻拍、心室頻拍

    □ 徐脈性不整脈:房室ブロック、洞房ブロック、洞性徐脈

  5. 脳梗塞を引き起こす危険性のある不整脈

    不整脈により心臓内で血液がうっ帯してできた血栓(血の塊)が何かの拍子で剥がれて脳血管に詰まってしまうことがあります。

    □ 頻脈性不整脈:発作性心房細動、持続性心房細動、慢性(永続性)心房細動、心房粗動、心房頻拍

  6. 治療しなくてもよい不整脈

    欧米における近年の大規模研究の結果、軽症の不整脈に対して強い薬剤を長期間用いると、確かに不整脈は消失するけれども、薬により不整脈を起こさせてしまう催不整脈作用やその他の副作用のために、かえって予後が悪くなる可能性が指摘されたのです。

    現在では、どのような不整脈に対して治療を行うかという治療適応に関して、おおむね下図のように考えるようになりました。
    もちろん症例ごとに慎重に考えなければなりませんが、一般的には重篤な心臓病がないヒトで不整脈が見られても、不整脈の重症度が高くなく症状も軽ければ、生活習慣の改善などの指導を行うだけで積極的な薬物治療などは行わないというのが最近の考え方です。

最近の不整脈治療の考え方

薬剤の催不整脈作用を考え、どうしても必要な場合に限って治療を行うようになり、軽症の不整脈は経過観察を行うのみでよい。また、いざ治療する場合の治療目標も、無理をして100%完全抑制を目指すのではなく、患者さんのQOLの改善が得られること、あるいは多少の不整脈が残っても長期予後の改善が得られることのほうが重要である。

このような考えから、実際の治療法も眼の前の不整脈を薬物で抑制する対症療法から、不整脈の原因に対する治療すなわち根治を目指すようになり、さらには個々の患者さんの特性に応じた個別の治療の構築へと、治療戦略が大きく変貌しつつあるのです。

出典:日本心臓財団(一部改変)

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